【祝】ナダル全仏13回目の優勝

みなさんこんにちは。

前回投稿からすっかり1ヶ月ぐらい間が空きましたね(最近月1ペースになってる・・・)。ようやく執筆モチベーションの上がるネタができたので、最近ありがちな「6割ぐらい書いたところで放置」になる前にさっさと書き上げてしまいました。

コロナのせいで大会がなかったこともあって半年以上ぶりになりますが、久しぶりのテニスについてです。テニスについて書くのは今年の3月以来、実に7ヶ月ぶりです(もうそんなに前なの・・・)。内容はタイトルからわかるように、今年13回目(意味不明)の全仏優勝となったナダルです。

大会前は、ジョコビッチやティエムと違って実戦を積む期間が短かったことや、ローマでシュワルツマンに初敗北を喫したこともあり、「今年は無理なんじゃないか」と思った人も多いはずです。また、例年と違い秋開催となったことで、気温が低くボールが湿って重くなり、バウンドも低くなったと多くの選手が言っていましたが、これまでナダルがRGで圧倒的な強さを誇ってきた要因をこれでもかと潰すような変化であったため、ナダル本人も「今回はかなり厳しいだろう」といったことを語っていました。ついでに大会で使用されるボールも、ナダルが慣れ親しんだバボラからウィルソンへと変化しましたが、おそらくこの変化が与える影響はあまり大きくはなかったのではないかと今では思います(ボールが重いなどの不満の要因は、気候面や大会運営の管理が雑だったことなどの方がはるかに大きく影響していると考えています)。

大会中盤ぐらいまでは例年に比べると低調でしたが、それでも1セットも落とすことなく勝ち上がり、SFではローマで敗れたシュワルツマンにきっちり勝ちました。そして迎えた決勝では、それまでの低調ぶりがまるで嘘だったかのように躍動しました。特に最初の2セットはジョコビッチを全く寄せ付けない圧倒っぷりで、テニスファンの大半が軽く引きました(場合によってはナダルファンですらドン引き)。3セット目は少しナダルのプレーレベルが落ちたこともあって、セット中盤まではようやく互角の戦いになりましたが、結局最後はRG対ナダル戦で恒例?のDFによるジョコビッチの自滅で決着がつきました。

今回の優勝により、「13回目の優勝」だとか「3回目の4連覇」といったパワーワードが大量生産されました。詳しくはこの後で触れますが、色々と節目の記録が同時に達成されました。記録の面から改めて全仏ナダルのすごさを振り返っていきます。

フェデラーに並ぶGS20回目の優勝

フェデラーが初めてGSで優勝した2003年から2020年の数日前に至るまで、ナダルのGS優勝回数がフェデラーのGS優勝回数に並ぶことは一度もありませんでしたが、今回の優勝によって初めて並ぶことになりました。下図のグラフのように、フェデラーとは最大で10の差(2010年AO後)がありましたが、ついに2020年で追いつきました。もし来年のGS開催が通常の日程通りであるならば、フェデラーが来年のAOで優勝しない限り、ナダルは来年のRGで先に21回目のGS優勝に到達する可能性が高いです。

f:id:Dhi-Zu:20201013181018p:plain

フェデラーナダルの通算GS優勝回数推移

同一GSで13回の優勝

2017年からは毎年のように「前人未踏の〇回目優勝!」といった文章を目にしていますが、そもそも同一大会2桁回数の優勝自体がほぼ前人未踏です。ナダルはRG以外にもモンテカルロバルセロナでそれぞれ11回ずつ優勝していますが、それらを除くとフェデラーのハレ(10回)が最高です。このハレ10回優勝という記録ももちろん素晴らしいものではありますが、ナダルの場合はそれ以上の優勝回数の大会が3つもある上に、ハレ(ATP500※昔はATP250)のグレードよりも高い大会が2つもあります(RGはGS、モンテカルロはMS、バルセロナはATP500)。RGと同じGSで比較すると、芝最強と言われるフェデラーウィンブルドンで8回、ハード最強と言われるジョコビッチのAOも8回なので、その1.5倍以上の回数であるナダルのRG13回という数字は理解不能の領域です。なお、RGの優勝回数だけで歴代GS優勝回数5位に入ります。来年優勝すると4位(14回)のサンプラスに並びますし、さらに翌年優勝するなんてことになれば、RGだけでサンプラスの回数を超えることになります(異常)。

同一GSで100勝達成

言うまでもなく、RGでは圧倒的に歴代最多の勝利数です。わかりやすくするために例を挙げると、錦織のキャリア通算でのGS勝利数(4大会全部の合算)が96(歴代46位)です。その勝利数をたった1つのGSで上回っているわけなので、単独GSでの100勝がいかにぶっ飛んだ数字であるかがわかります。他のGSについてはフェデラーがAOで102勝15敗、ウィンブルドンで101勝13敗でトップですが、フェデラー次第では来年のRGで同一GS勝利数の記録を更新する可能性があります(なお、UO最多勝利はコナーズの98勝です)。ちなみに、ジョコビッチは全てのGSで70勝台というバランスの良さを誇りますが、逆に言うと得意のAOでも80勝には届いていないのでちょっと意外です(フェデラーナダルに比べると覚醒するのが遅かったことがここに影響しています)。

全仏通算100勝目で13回目の優勝を決める

RG13回の優勝で91勝(7勝×13回)。優勝できなかった2009年(3勝)、2015年(4勝)、2016年(2勝)で残りの9勝を稼いでおり、それによって100勝目が優勝と重なるという巡り合わせになりました(本当にRGの神に愛されてる)。

キャリア通算999勝

ローマでもう1勝していればキャリア1000勝も同時達成となりましたが、さすがにそこまで運良く全てが重なることにはならず(それでもゾロ目なのでこれはこれで運がいい?)。

クレーで60 回目の優勝

クレー優勝60回のうち、約1/5がRGで最多です。RG(13回)とモンテカルロ(11回)、バルセロナ(11回)の3大会だけで半数以上を占めています。ジョコビッチのハード優勝回数が60ですが、クレーはハードよりも大会数が少ないことを考えると、同じだけの優勝回数をクレーだけで稼いでいることがいかに異常であるかがわかります(参考:ジョコビッチのハード勝率は84.4%、ナダルのクレー勝率は91.8%)。

優勝したのに勝率が全然上がらない

大会前は93勝2敗で勝率97.895%、優勝によって100勝2敗の勝率98.039%になりましたが、元の勝率が高すぎるせいでいくら勝ってももう小数点以下しか上がりません(+0.144%)。仮に来年優勝したとしても、107勝2敗の勝率98.165%なので、わずか0.126%しか上がりません。

RG歴代2位の年長優勝

歴代最年長記録はスペインのアンドレス・ヒメノの34歳10ヶ月です。今回のナダルは34歳4ヶ月なので、来年優勝すれば35歳0ヶ月で記録更新となります。ちなみに、ヒメノのRG優勝は前述の34歳10ヶ月での優勝が最初で最後です(逆にそれはそれですごい)。

3回目の4連覇

4連覇は初出場の2005年~2008年初敗北の翌年2010年~2014年低迷期から復活した2017年~2020年(継続中)の計3回です。来年優勝すると2回目の5連覇です(何だよ2回目の5連覇って・・・)。そもそもナダルが出てくるまでの連続優勝記録保持者だったボルグですら1回4連覇しただけ(だけ・・・?)なので、1人でボルグ3人分の偉業を成し遂げていると考えると頭がおかしくなります。

全試合ストレート勝ちでの優勝

2008年、2010年、2017年に続いて3年ぶり4回目です。ここでもボルグの持っていた全試合ストレート勝ちでのGS優勝の記録(3回)を更新しました。身体能力で言えば20代の頃よりも衰えているものの、試合運びは今の方がうまくなっているので、若い頃ほど無駄にセットを落とすようなことがなくなったという証でしょうか。

GSで対ジョコビッチ6年ぶりの勝利

GSで最後にジョコビッチに勝ったのは2014年RGです。GS決勝という括りでも、最後にジョコビッチに勝ったのが同じく2014年RGです。2015年と2016年はナダルが低迷期だったので、そもそもジョコビッチのところまで辿りつけずに敗退していましたし、対戦できてもジョコビッチに負けました。2017年は逆にジョコビッチの低迷期で、ジョコビッチが早期敗退していたために対戦機会はありませんでした。2018年はウィンブルドンで対戦しましたが、フルセットの死闘の末に惜しくも敗北。2019年はAOでジョコビッチに完敗でした。GSで対ジョコビッチからの勝利自体が久しぶりでしたが、ナダルがGSでここまで一方的に勝った試合というのは、ジョコビッチが覚醒するよりも前(と言うかジョコビッチのキャリア初期の頃?)まで遡らないと見つからないと思います。少なくとも、ジョコビッチ覚醒以降では初めてのことです。

GSでジョコビッチ相手に初めてベーグル

歴代最多の対戦回数を誇る2人ですが、58回も対戦していていながらベーグルになったことは今回がようやく2回目です(GSでのベーグルは今回が初めて)。しかも最初の1回目は去年のローマなので、2018年までは両者ともに一度もベーグルになったことはありません。ちなみにフェデラーナダルの間ではベーグルは4回あって、ナダルが3回食らっています(そのうち1回がGS=ウィンブルドンです)。フェデラーが食らった唯一の1回は2008年RGです(6-1,6-3,6-0)。

通算GS優勝年数14年

要は「GS無冠ではない年の合計」です。2005~2014年の10年と、2017~2020年の合計が14年になります。ナダルはGS連続優勝年数の歴代最長記録10年(2005~2014年)も保持しています。GS初優勝以降でナダルがGS無冠だったのは、2015年と2016年のたった2年だけです。ちなみに、フェデラーは2003~2010年、2012年、2017~2018年で通算11年、ジョコビッチは2008年、2011~2016年、2018~2020年で通算10年です。ナダルの場合はRGのおかげで最低でも年1回がほぼ約束されているので、フェデラージョコビッチと比べるとGS無冠にはなりにくいです。

17年連続のクレータイトル

初優勝は2004年。そこから毎年1大会以上クレーで優勝しています(継続中)。見方をもう少し広げれば、17年連続で最低1大会は優勝しているということになります。

 

もっと重箱の隅をつつけば色々な記録がありそうですが、ひとまずこれぐらいで終わりにしておこうと思います。

ナダルは年内の残りの大会はスキップし、もう来年のAOに備えるという話が出ていました。おそらく、私も高確率でそれに倣って、年内の情報収集はほどほどにすることになりそうです。

まだまだコロナの収束には程遠い状況であり、ツアーが完全に元の形に戻るのには相当な時間がかかりそうですが、少しずつ戻り始める方向にはなってきています。TVで観戦するだけであればそこまで時間はかからないかもしれませんが、現地観戦(特に一定以上の人数を入れての観戦)はまだ先が長そうです。どうにか早く元の形に戻ってほしいものです。