GSでの「〇年ぶりの優勝」について

こんにちは。

今年最初のGSである全豪が終わりました。大会開始前には色々ありましたが、最終的にはナダルのGS21回目の優勝&生涯GS2周目達成で無事に幕を閉じました(心の底からおめでとうを言いたい)。

ナダルはこれまで生涯GS2周目のチャンスが4回(2012年、2014年、2017年、2019年)ありましたが、いずれも未遂で終わっていました。特に一番のチャンスだったのは2014年で、相手は相性のいいワウリンカだったこともあって“普通にやれれば”勝てていたと思います。ただあの時は決勝で負傷してしまったので、その普通にやるということができなかったわけですが・・・。そういったこともあって、ナダルファンにとって全豪は良い印象よりも悪い・嫌な印象の方が強い大会です。

今回はそもそも決勝まで上がれるとは思っていなかったので、決勝まで上がってこれただけで本来は満足すべきではありました。ただ、そうは言っても目の前に生涯GS2周目のチャンスが転がっていると欲が出るものです。「ここまで来たからには・・・」という思いが湧きつつも、「でも(負のイメージが大きい)全豪だしな・・・」といった2つの気持ちの板挟みになりながらの決勝でした。結局は5度目の挑戦が実を結んだわけですが、正直私は2セット目のSFSを落とした時点でストレート負けを確信してスコアを追うのを止めました(ファン失格)(だってストレート負けという事実は辛いんだもん・・・)

そんなわけで、対メドベージェフでは2019年ツアーファイナルズ(3セット目1-5から逆転したやつ)以来の大逆転勝利でGS21回目の優勝&生涯GS2周目を達成したわけですが、他にもナダル史上2番目(ナダルが勝った試合に限れば最長時間)となる5時間20分という試合時間であるということや、同一GSで13年ぶりでの優勝であるということ、2007年以来15年ぶりの2セットダウンからの逆転勝利であることなど、記録の観点から見ても偉大な(珍しい?)優勝となりました。

今回の「2009年以来13年ぶり2回目の全豪優勝」という意味不明パワーワードが本投稿のきっかけです。・・・が、執筆途中に同じ内容で先を越されました()。

smasoku.blog.jpせっかく調べたのにこのままお蔵入りするのも勿体ないので、ここではもう少し詳しくこの記録について見てみようと思います。なお、もうわかり切っていることなので先にここに書いておきますが、ナダルの13年という間隔は歴代最長記録です

前提

・オープン化以降の優勝のみで集計

・同一GS2回以上優勝者のみを集計(当たり前)

・同一GSかつ同一人物では長い方の期間のみ集計

例:同一人物が同一GSで2005→2007と2009→2012の2つの期間を有する場合は長い方の2009→2012のみを集計

・連覇(=間隔は1年)は多いので集計外

全豪

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全豪

前述の通りナダルの13年が圧倒的な1位です(GSトータルで見ても)。また、今回ナダルが更新するまではフェデラーの7年が1位でした。アガシは全米でも5年という記録を持っています。ジョコビッチは3年を2回記録しています(ウィンブルドンでも3年を2回記録しています)。ちなみに、他のGSと比べると全豪は2年連続での優勝が比較的多く、3年連続以上の絶対王者と言える選手はジョコビッチしかいません(フェデラーでも3年以上の連続はありません)。

全仏

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全仏

ジョコビッチの5年が最長です。クレーでフィジカル勝負になりやすく衰えの影響をもろに受けるためか、比較的短期間(2年)しか優勝できないという選手が多いです。そのため優勝が連続2年で止まるとそのまま優勝できずに終わってしまいがちで、「〇年ぶりの優勝」ということが他のGSよりもかなり起こりづらいようです。そういう意味ではナダルの連続優勝の隙間に2回優勝しているジョコビッチの5年という記録は、他のGSよりも難易度は高いと思います。普通ジョコビッチの実力であれば5年も間隔が空くようなことはなく、むしろ連続優勝になるはずなんですが、同時代に全仏で13回も優勝する魔神がいるからこんなことが起こるんですよね・・・。ちなみに、もしフェデラーが今年以降の全仏で優勝することがあれば、全豪でのナダルの13年という記録を更新する可能性があります(2009→2022で13年)。まあフェデラーが全仏でもう1回優勝するのはさすがに無理だとは思いますが・・・(ナダルジョコビッチがいる限り)。

ウィンブルドン

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ウィンブルドン

コナーズの8年はナダルが記録を大幅更新する前のGS全体での最長記録です。この8年の間にボルグの5年連続優勝が含まれています。コナーズに次ぐ長さはフェデラーの5年です。ウィンブルドンは他のGSよりも3回以上の優勝者が多い上に、他のGSよりも絶対王者的な存在が各年代に万遍なくいます。そういう意味でもコナーズの8年は更新するのは難しいです。ただ、ここでも唯一それを更新できる可能性があるのがナダルで、仮に今年優勝すると2010→2022の12年となるため、全豪に続いてこちらでも記録を大幅更新できますジョコビッチさえいなければ全豪に続いてこちらも更新の可能性は十分にあるので、全豪同様ワクチン未接種を理由にジョコビッチ不在にならないかな・・・。

全米

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全米

サンプラスの6年が最長です。次点のアガシやその次点のコナーズ、さらにその次点のマッケンローといったように、かつてのテニス強豪国であるアメリカ勢が目立ちます。特にサンプラスの6年はストーリー性も強いので、当時リアルタイムで観ていた人にとっては忘れられないものだろうと思います(決勝の相手が長年のライバルであったアガシという点が個人的には非常に好きです)。ウィンブルドンほどではないにしても、全米も比較的優勝する選手が各時代ごとにある程度固まっていたという歴史がありますが、フェデラーの5年連続優勝を最後に、10年以上もの間2年連続での優勝というものがありませんジョコビッチですら3~4年に1回ぐらいでしか優勝していない)。また、そのフェデラーの連続優勝が途切れた2009年以降だけで優勝経験者が8人もいます(デルポトロ、ナダルジョコビッチ、マレー、チリッチ、ワウリンカ、ティエム、メドベージェフ)。歴史的に見てもこれはかなり珍しいことで、これだけ毎年優勝者が変わるようなことはナダル台頭前の全仏ぐらいでしか見られません。そのような背景もあって、可能性だけで言えばサンプラスの6年(場合によってはナダルの全豪の13年すら)を更新できる候補者が多くいます。具体的には、(仮に今年優勝するとすると)フェデラー2008→2022(14年)、デルポトロ2009→2022(13年)、マレー2012→2022(10年)、チリッチ2014→2022(8年)です。ワウリンカですら2016→2022(6年)でサンプラスの記録に並びます。ただ、フェデラーとワウリンカは年齢的に無理でしょうし、デルポトロとマレーは怪我による衰えが大きいので厳しいです(そもそもデルポトロは戻ってこられるのか?)。チリッチもあの2014年のスーパーチリッチが再び降臨しない限り無理(≒起こりえない)なので、実際に更新されることはないと思います。

一覧

最後に一覧表です。表自体はウィキペディアのものをコピペしているので、選手名の表記が私とは異なることをご理解ください(例:マレー→マリー)。

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オープン化以降のGS優勝者一覧

あとがき

というわけで、前回の投稿から間を空けずに執筆することができました。このペースを維持していければよいですが、生憎しばらくは大きな大会もないですし、おそらくナダルもしばらくは全豪の疲れをとりつつトレーニングする期間に充てると思うので、早くても春のインディアンウェルズぐらいまでは書くネタがないんじゃないかと思います。私もその時間を利用して他の趣味に時間を充てるようにして、ナダルが躍動するであろう春のクレーシーズンに向けて準備をしていくつもりです。そんなわけで、しばらくはまたテニスから離れることになりますが、また春頃にお会いしましょう。