日本におけるテニス観戦の文化

遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます。

去年ほど追えるかはわかりませんが、ナダルをメインに今年もATPツアーを追っていきます。

今回の記事は特に文献などを調べたというわけではなく、「個人的にはこう思う」ぐらいの内容をささっと書き連ねたものなので、気楽に読んでください。

「野球が好きです」

さて、突然ですが問題です。

まだ知り合って間もないAとBがいます。以下の流れにおいて、Aの発言としてどのような内容が考えられますか?

 A「何か趣味などはありますか?」

 B「野球が好きです」

 A「(     )」

 

正解は一つではありません。こちらの意図としては、AとBの会話が続くような“深掘り”のための発言を考えてほしいのです。みなさんならどのようにして会話の深掘りを行いますか?

(以下、一応ワンクッション挟みます)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ワンクッション終わり)

それでは回答例を書きます。

 

 A「何か趣味などはありますか?」

 B「野球が好きです」

 A「どこのファンですか?

 

どうでしょうか?私としてはこの回答がオーソドックスだと考えています。

ただ、野球が好きと言ってもプロ野球ではなく高校野球好きかもしれないし、メジャーリーグ好きかもしれません。さらに言うと野球観戦ではなく、自身が野球をやるのが好きなのかもしれません。なので、本来であればAのバックグラウンドを考えた上で「どこのファンですか?」と聞くべきです。

Aのガタイが明らかによく、学生時代にスポーツをしていたことが容易に想像できるのであれば「(普段)野球をなさっているのですか?」と聞くべきでしょう。逆にAがスポーツをしていなさそうな見た目であれば、観戦が好きなのだとやや決め込んで上記のような質問をしても問題ないと思います。

とは言え、ある程度の年齢から上になると、野球をする側よりも観る側の方が圧倒的に比率は高くなるので、観戦の方だと決め込んでいいでしょうし、その対象をプロ野球とみなしても問題ないと思います。学生野球好きでもプロ野球に一切興味ないという人は珍しいですしね(さらにメジャーリーグ専門と言う人はもっと少ないはず)。

 

「テニスが好きです」

ここまでは「野球好きです」に対して「どこのファン?」という返答は至って普通の返答であるということを述べてきました。これが野球ではなくサッカーだったらどうでしょう?これも同じく「どこのファン?」でいいと思います。

さて、本題のテニスです。「テニスが好きです」に対してはどう返答するのがよいでしょうか?ここまでの話の流れであれば「テニス(観戦が)好きです」のことだと考えて「どの選手が好きなの?」と聞くべきだと考えると思います。ですが、実際には「テニス(をするのが)好きです」と捉えられることが結構多いのです(私だけ?)。

大学生の頃に「テニス好きです」と言うと、高確率でやる方だと勘違いされました。おそらく、大学生にとってテニスと言うと(良くも悪くも)サークルというもので身近な存在だからなのだと思います。・・・真面目にテニスしているテニスサークルよりもそうではないテニスサークルの方が多いような気はしますが。

また、社会人になってから「テニス好きです」と言うと、100%「(社内のテニスクラブに)入ればいいじゃん」と言われました。これは社内にクラブがあるというやや特殊な条件の下なので、世間一般ではここまでの確率ではないはずですが、どちらかと言えば観戦よりもやる方で考えられることが多いとは思います。

ちなみに、「(社内のテニスクラブに)入ればいいじゃん」と言われてそれをやんわりと拒否するのが煩わしいので、何度かこのような発言を受けてからは、自分から「テニスが好きです」と言うことはなくなりました()。

 

野球やサッカーとテニスの差

野球やサッカーでは観戦が前提であるのに、なぜテニスでは観戦が前提ではないのでしょうか。私の考えとしては、タイトルにある「日本におけるテニス観戦の文化」が要因だと思います。

野球にしてもサッカーにしても、国内プロリーグがしっかりと根付いていますし、学生の大会も根付いています。どちらもしっかりとした観戦の文化があります。ですがテニスはそうではありません。

(プロ)テニスの場合は主戦場が海外であり、季節によってメインとなる国や地域が変わるという事情もあって、野球やサッカーのように現地での観戦は容易ではありません。国内だと10月の楽天オープンしか大会がないので、年1回しかチャンスがないわけです。私のようなテニス好きならともかく、日本人の大半にとっては、年1回の開催では観戦の文化は当然根付くわけがありません(ここ数年はそもそもチケット入手が容易ではないですし)

またテレビ放送についても、(基本的に)野球のように地上波放送しているわけではなく、GAORAWOWOWといったものに加入する必要があるので、やはり世間一般には浸透しません。かつての錦織や今の大坂の活躍があるにもかかわらず、観戦としての文化が日本に根付くことはなさそうですね・・・。

 

他のスポーツは?

お正月と言えば箱根駅伝がありますね。「箱根駅伝が好きです」と言われても、その人自身が走ることを好きだとは考えませんよね。普通は「2区のごぼう抜きがすごかったよね」とか「5区の山の神すごかったね」と言った話になるかと思います。しかし同じ陸上競技でも「マラソンが好きです」と言うと、観戦ではなくやる方を前提に考えられがちです(そもそも、箱根駅伝は「出たくても出られない」、マラソンは「出ようと思えば誰でも出られる」という違いはありますけど・・・)。

ゴルフはやる方を前提に考えられますね。これは社会人の人付き合いのためにやるものという悪しき風習が根付いているので仕方ありません。ただ、テニスよりもプロツアーの開催数や地上波放送の機会が多いので、テニスよりは観戦の文化は根付いているのかと思います。

水泳は難しいです。個人で泳ぎに行こうと思えば市民プールに行けばいいので、自身でやることのハードルは高くないです。現地観戦はメジャーではありませんが、五輪や世界水泳のような国際大会は地上波でお馴染みですし、日本人選手も多く活躍することもあって、テレビ観戦の文化はそれなりにあります。ですので、水泳はやる方なのか観戦なのか、個人的には判断が難しいスポーツです(が、おそらく世間一般では自身が泳ぐ方で考えられることの方が多いのかと思います)。

 

おわりに

これといった主張はありませんが、ざっくりとまとめると、

・野球やサッカーのように、国内プロリーグや学生大会が人気なスポーツは、観戦文化も根付いている。

・テニスは国内にプロリーグがなく、基本的に地上波での放送もないので観戦文化が根付いていない。

・観戦文化が根付くかどうかは、国内プロリーグや学生大会の地上波放送の有無や、五輪などの世界大会でメダル候補の(日本人)選手がいるかどうかといった要素が影響する。

となります。